「高田馬場」は西武線のスゴく重要な駅
これは、西武新宿線のなんとも切ない立ち位置による。首都圏の私鉄はほとんどが都心で地下鉄に直通している。西武池袋線もそうだし、東武も東急も京成も京急も小田急も京王も。
ところが、西武新宿線だけが地下鉄に直通していない。あげくに都心方のターミナルは歌舞伎町の端っこに位置する西武新宿駅で、JR新宿駅との乗り換えはちょっと遠くて不便だ。そこで西武新宿線とJR線を乗り換える人はたいていが高田馬場駅を利用することになる。
つまり、朝のラッシュアワー、ただでさえ早稲田の学生で混み合うホームに西武線から山手線へ、山手線から西武線へと乗り換えるお客が錯綜するということになる。ホームドアがあるからまだいいが、そんな時間帯に高田馬場初心者がやってきたらと思うと……やっぱりおっかない。
ホームの北側にある階段を降りると、そこがいわゆる高田馬場駅のメインの出入り口で早稲田口という。高架下のコンコースは西武新宿線の改札口と隣り合っていて、JRが西側、西武が東側に並ぶ。
高田馬場駅というと、BIG BOXのビルが見下ろす駅前広場がイメージされるが、これはJRではなく西武線の出入り口の正面ということになる(そういえばBIG BOXも西武系のビルだ)。
逆に天下のJRの出入り口はひっそりとガード下。コンコースから早稲田通りに出ると目の前にはなぜか郵便ポストが2つ並んでいて、「郵便物にいたずらをする事例があった」と注意書きが貼られている。
通りの向こうには手塚治虫のキャラクターが描かれた壁画があった。そういえばこの駅の発車メロディは『鉄腕アトム』のテーマだったと改めて思い出す。お茶の水博士が長官を務める科学省が高田馬場にあるという設定から実現したものだという。
どぎついオレンジ色の看板で「学生ローン」
この鮮やかな壁画の脇から高架脇の飲食店が連なるようなちょっとした路地が伸びる。その入口に堂々と掲げられているのが、「学生ローン」の看板である。
なぜかよくわからないが、個人的には高田馬場というと学生ローンの看板の印象が強い。どぎついオレンジ色の看板で、そこかしこに学生ローンの看板があって、これに手を出してしまうと大変なことになるんだろうなあと思う。
記憶の限り、というか20年近く前に早稲田大学に通っていたという友人に聞いてもその頃からあったというから、高田馬場伝統の看板のひとつなのだろう。いやはや、さすが日本一の学生街、とんでもない悪魔の誘惑が駅前から待ち受けている。