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ウミヘビであってヘビではない、ダイナンウミヘビを食べる

 ダイナンウミヘビは「爬虫類のヘビ」ではなく「ウナギ目アナゴ亜目ウミヘビ科の魚類」だ。暖かい海域の砂地に生息していて、こちらもアカエイ同様にぶっこみ釣りや泳がせ釣りの常連ゲストである。

とにかく細長いダイナンウミヘビ

 釣り方は、投げ竿に太目のラインと大きめの針を結んで魚の切り身を投げるだけ。時に2メートル近いものまで釣れ、自己記録魚がダイナンウミヘビだという方も多いはず(私がそう)。針に掛かったとしても竿を叩くアタリは出にくく、仕掛けを回収する際に根掛かりだと思って引っ張ると、ごぼうのように海底から抜けて上がってくることが多い。

根掛かりかと思いきや…

 釣り味のなさ、ゲテモノ感、そして身は骨だらけと、これらファクターがゲストとしての地位を確立したのであろう。今回調理に使用するダイナンウミヘビは前述したアカエイ釣行時に1メートルに満たない個体が釣れたので、アカエイと合わせて持ち帰ったものだ(一日釣りをした割には悲し過ぎる釣果だが……)。

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長物の下処理を素早く行う方法

ダイナンウミヘビの下処理方法

(1)ヌメリを取る

 ・軽く水気を取った状態で塩揉み、お酢をかけて優しくこすりヌメリが取れたら水で流す

 ・熱湯に一瞬だけ潜らせて白く凝固したヌメリを包丁で落とす(※熱湯に漬け過ぎると火が通り身崩れを起こすので注意)

(2)内臓を取り頭を落とす

細長いだけに可食部は少ない

ダイナンウミヘビでさつま揚げに挑戦

 ダイナンウミヘビがリリースされる最大の欠点は小骨の多さだと考える。仲間であるマアナゴは骨が弱いため、釣りでも人気のターゲットであり市場にも出回っている。その欠点を克服する調理法がさつま揚げではないだろうか。すり身にすれば小骨の処理工程を取っ払うことができるので、調理のハードルは格段に下がるはずだ。

 早速調理開始。

ダイナンウミヘビのさつま揚げ

(1)三枚におろして皮を剥ぐ(目打ちは必要なし)

(2)ダイナンウミヘビをフードプロセッサーですり身にする

(3)ニンジンをあられ切りにし、長芋をすりおろす

(4)片栗粉、塩、砂糖を(2)、(3)と混ぜ合わせる

(5)油で揚げる

すり身になったダイナンウミヘビ
揚げ物の香ばしい匂いが食欲をそそる

 温かいうちにハイボールで乾杯。

揚げたてのさつま揚げ

 驚いたのは、魚本来の香りと旨味が強いこと。ダイナンウミヘビの個性が油に負けることなく口に広がる。さらに長芋と相まって、ふわふわな食感がでている。間違いなく美味しいさつま揚げができていた。本来リリースされる魚で作られていることに改めて驚いた。

 しかし、もともと骨が多いだけにすり身にしても少し不純物の混じりを感じるところはあったが、欠点は解消できたと判断して良い。何も処理せず煮つけで食べると、とても食べられる魚じゃないことがよくわかった。

 さつま揚げにダイナンウミヘビの活路を見いだせた気がした。