――倉敷に藤井竜王の自戦解説に行った方からは、こんなコメントをいただきました。
超難解な将棋、特に終盤戦はABEMAの解説陣も頭を抱えた一局。倉敷市で開催された「藤井聡太竜王誕生を祝う会」で、藤井竜王が心から楽しそうに終盤の長手数の読み筋(打ち歩詰めの変化まで完璧に読み切っていた)を自戦解説し、この日が将棋イベントデビューだった聞き手の狩山新四段が全くついていけなかった。
藤井竜王の退席後、谷川九段をして「普通、棋士はこうした席での自戦解説は当然理解しているのでほぼ聞いていませんが、今の藤井竜王の話は私も初めて気づく変化もありこれだけで1冊の本が書ける」と言わしめた後日談まで含めて名局。(48歳/女性)
遠山 これだけで1冊本が書けるってすごいですね。今、本を書いていますが、本を書くのは本当に大変です(笑)。
印象的だった最終盤の一手
――続いてアンケート第2位だった棋聖戦第3局(藤井聡太棋聖/渡辺明名人)です。まずコメントをひとつご紹介します。
藤井棋聖初防衛の一局。最終盤の後手7一飛車が印象的です。(55歳/女性)
――遠山先生、これはどういう一手だったでしょうか。
遠山 これは藤井さんが、最後に飛車を馬の利きにタダで捨てたんですね。それを同馬と取ると難しい詰みがある。詰みは難しいし1分将棋の状態だったので、なかなかそこに飛車を動かす人はいないんですけど、藤井さんはパッと動かして詰ませた。この対局の価値がすごく上がった一手でした。内容的にもいい将棋でしたよね。
深浦 いい将棋でしたねぇ。
遠山 終盤、AIが一瞬、渡辺さんにもチャンスありと示していたんですが、これは人間にはその手はほぼ指せないという手でしたね。
深浦 よくありますねぇ。
――それくらい際どい終盤だったと。
遠山 名局の絶対条件は、際どい終盤だと思いますが、まさにそんな一局でしたね。観ている人に最後まで「これどうなるんだろう」って思わせないと。
深浦 なるほど。それはそうかもしれません。
遠山 しかもパッと見たところいい勝負じゃダメなんです。AIのフィルターを通しても競っていないとダメという。
深浦 ハードル高っ(笑)。
遠山 でもこの2つは、それをクリアした名局でしたね。
対局後に「藤井キラー」として取材が殺到
――深浦先生が藤井聡太三冠に勝利されたNHK杯にも投票がありましたので、コメントご紹介します。
一方的とも言えるほど深浦九段の攻撃が鮮やかに決まって、藤井聡太三冠に勝利。机に伏した藤井さんも印象的でしたが、藤井さんに3勝1敗という、深浦先生の底知れぬパワーをテレビ越しに感じました。(60歳/女性)
深浦 この後、取材が殺到しまして。
――どういう取材なんですか(笑)。
深浦 ほぼ「どうして藤井さんに勝てたのか?」ということについてですね。それで同じことを10件、20件と話しました。
――勝てた要因にはどのようなことが?