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LPSA設立15周年 中倉宏美女流二段が語る“代表”の仕事「イベントや大会が終わったらゴミ袋も載せて帰りますよ」

LPSA設立15周年 中倉宏美女流二段が語る“代表”の仕事「イベントや大会が終わったらゴミ袋も載せて帰りますよ」

中倉宏美女流二段インタビュー #1

2022/08/07
note

――GSPの人数と棋力を教えてください。

中倉 半年を1期として毎期10人前後の女の子が参加しています。何年も継続するメンバーがいる一方、学業の都合などで休会者や退会者もいます。丁寧にサポートしているので10人くらいがちょうどよい感じかなと。うち研修会員は5人ですね。

 中高大学生中心ですが、最近27歳の方が入会しました。将棋を始めた時期が遅くて級位者ですが、棋力を上げています。棋力も年齢もはっきりとした制限は設けていません。LPSAでは40歳まで女流棋士になれるチャンスを残していますし、大人になってから夢を追う方も応援したいのです。

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より活躍し、強さの面でも魅力ある団体を目指すために

――GSPメンバーで女流棋士になったのは礒谷真帆女流初段ですか? 研修会員ではなく、アマとして出場した女流プロ棋戦ベスト8の成績をクリアして女流棋士資格を得ました。

中倉 真帆ちゃんは2017年のGSP発足時からのメンバーです。まだGSPから女流棋士になったのは1人だけ。メンバーが力をつけてきたので、これから女流棋士になる子が出てくると思います。

 

――GSPのメンバーが研修会B2昇級など女流棋士資格の条件をクリアしたら、必ずLPSAに入る約束なのでしょうか。

中倉 いえ、最初はLPSAに入る入らないにかかわらず、誰でもメンバーとして受け入れていましたので、そういった約束はありません。ただ、熱心に教えている若手女流棋士からすると、メンバーは妹弟子のような存在になっていき、将来女流棋士になったらLPSAに来てほしいと感じるのも自然です。

 GSPへの問い合わせや入会希望者も徐々に増えてきたので、2022年の新規募集からは将来LPSAに入りたい女の子を優先して受け入れることにしました。入会の時に保護者も一緒に面接して「女流棋士資格を獲得したときには、LPSAに所属していただけたらありがたいです」と私が直接お話しするようにしています。ただ、お願いはできても、強制できるものではありません。

 女流棋士資格を得た新人が、より強い女流棋士が多いほうに行きたいと考えるのは普通のことです。LPSAは現役の女流棋士は8人ですが、より活躍して強さの面でも魅力ある団体を目指さなくてはいけません。渡部さんはLPSAにタイトルを持ってきたいと言ってくれ、昨年は初代白玲を争う七番勝負に出場しました。他のメンバーも頑張らなければと思っています。

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――入会希望者はLPSAの女流棋士やメンバーの知り合いが多いのですか?

中倉 そういうツテでの入会希望者もいますが、LPSAの連絡先アドレスに問い合わせがあることも増えています。クラウドファンディングのお陰で、GSPに興味がある女の子を対象に体験会を開くこともできました。