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女性への将棋の普及は大きな柱

――事務作業なども女流棋士でされるのですか?

中倉 そうですね、今年クラウドファンディングの返礼品の発送作業を女流棋士で集まってしました。私たちはLPSAファンクラブ「Minerva(ミネルヴァ)」会員さんのお名前はほとんど分かるし、よくイベントに参加してくださる方はお顔とお名前も一致しています。「あ、これはミネルヴァの○○さんだ。こんなに申し込んでくれてる!」「こっちはよくサロンに来てくださる××さん。ありがたい」などと感謝の気持ちを口にしながら楽しく作業しました。

 ただ、当たり前ですが事務作業は強制ではなく、現役や若手には将棋の研究にも集中してほしいので、そういう環境作りも心がけています。渡部さん(愛女流三段)がタイトル戦に登場したときは、サロンの担当もお休みしてもらいました。でもLPSAにとって良いと思ったことや、渡部さんにしかできないことは、多少大変な仕事でも引き受けてくれます。彼女はとてもしっかり考えてくれていて、頼りになりますし感心しています。

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 渡部さんは、先日の企業アマとの公開ペアマッチで、うっかりの手を指してしまい、対局中に「ごめんなさい!」と叫んだり、やらかし現場も何度も見ました。しっかりしたところと、やらかすところとギャップ萌えがあるかもしれないですね(笑)。

日本将棋連盟からも棋士、女流棋士が出演し、企業アマと女流棋士ペアで行われたペアマッチ(写真提供・LPSA)

――LPSAは女流棋士17人が所属する団体ですが、その規模からするとたくさんの事業に取り組んでいますね。

中倉 女性への将棋の普及は大きな柱です。次世代の育成としてマイナビ杯小学生・中学生女子将棋名人戦の運営をやっています。大人の女性が出られる大会も、アパガード杯女子アマ団体戦や女子アマ王位戦などがあります。

アパガード杯女子アマ団体戦には小学生から70代まで100人以上の女性が参加(写真提供・LPSA)

各地区で大会を開いて全国大会への代表を決める方式に

――まずマイナビ杯小学生・中学生女子将棋名人戦について聞かせてください。たくさんの女流棋士がこの大会を経験し、最近では鎌田美礼女流2級、木村朱里女流2級も出場されていました。また、昨年、山根ことみ女流二段にインタビューした際には「小5でまだ級位者だったのに四国大会で優勝。代表として出場する全国大会では棋譜中継もされるので、恥ずかしくないよう松山将棋センターの指導者に戦法を習い勉強した」というようなお話をされていました。

中倉 山根さんのように全国大会に向け棋力をアップさせるために頑張った、という話を聞くのは嬉しいことですね。棋譜中継は、今の中継システムの礎を築いた将棋ライターの松本博文さんの力を借りています。3年前からマイナビ様が冠スポンサーになってくださいました。