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 身近なところでもカフェは新世界グループが運営するスターバックスとロッテグループのエンジェル・イン・アスが市場を抑えている。上述の即席麺は一人勝ちの農心を他メーカーが追いかける構図となっている。

 そうした「閉鎖的」な韓国市場と比べ、日本市場は新規参入が容易で、なおかつ全体の市場規模が韓国よりも大きいため、ニッチな市場も十分な大きさで形成されている。

 2つ目の理由は先進国など第三国への足掛かりだ。現代自動車が日本で販売を開始した燃料電池車は、トヨタと現代が世界市場を二分する。日本市場では“お膝元”であるトヨタの足元にも及ばないだろうことは想像できるが、一方、米国や欧州、アジアでの販売を見据えたとき、同じ東アジアのライバルとの比較は欠かせない。その比較データの収集が容易な市場が日本なのだ。

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 最後は、「日本製」という表記だ。上述のANは、当面は代理店を通して輸出したい考えだが、将来的には日本に製造拠点を置く可能性もあるという。韓国コスメは日本では人気があるので韓国製で問題ないが、中国市場は違っている。

 近年、日本に製造拠点を置く中国企業が増えている。中国では同じ製品でも中国製より韓国製、韓国製より日本製が高く売れるため、日本に工場を作ったり、OEM先を探したりする中国企業が増えているのだ。同じように中国向け製品を日本で作ろうと考える韓国企業も現れているという。

コロナ禍で途絶えていた往来が戻る中で…

 こうした企業進出は、じつは日本から韓国への向きでも動きが進んでいる。

 サムスンや現代、LG、SKハイニックスなど韓国のグローバル企業に部品や素材を供給する会社は、日本政府が韓国を輸出管理のグループA、いわゆるホワイト国から除外して以降、韓国向け輸出に時間がかかるようになった。韓国企業に納入する素材や部品の製造拠点を韓国内に置く例が相次いでいる。

 欧米市場への進出は日本が豊富な経験を持っているが、ベトナムなどの新興市場は韓国企業が豊富な経験を持っている。短期間で成長を遂げた韓国は新興市場に進出する練習にもなるだろう。

 韓国内の日本製品不買運動は事実上終焉し、コロナ禍で途絶えていた往来も回復の兆しを見せている。こうした中で、日韓双方の企業の、互いの市場をうかがう状況も再開し活発化する兆しを見せているのだ。