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押井:セクハラやパワハラは、アメリカから始まったことなんだということを、まず考えたほうがいい。アメリカは個人の権利と義務の上に成立している契約社会です。

 一方、日本の場合はその部分がグズグズ。にもかかわらず、パワハラ&セクハラの概念だけが輸入されてしまった。ギクシャクする理由はそこにある。日本は個人の意識をとやかく言う前に、どうやってみんなと仲良くするかのほうが重要だった。「根回し」なんてそのいい例です。そういう社会にパワハラとセクハラが輸入されてしまったから、みんな対処しきれてない。

 国会でもパワハラやセクハラが問題になっていたし、#Me Tooと書かれた紙を持って国会に出て来た女性議員もいる。でも、それってすべてアメリカの価値観。アメリカの流行に乗っかっているだけですよ。本気でやるのなら、自分で標語を作りなさいと言いたい。わたしから見ると、単にアメリカの尻馬に乗っているだけにしか見えない。

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――確かに、流行という感覚はありますね。

押井:本気で考えるのなら、そういうことよりも、職場や学校の人間関係が危うくなっていることに目を向けないといけないんです。そこに立ち返って、初めてパワハラやセクハラの線引きができるかもしれないんだから!

「ちなみに宮さんは…」

――でも、そうやって膿を出していたら、どんどん負のスパイラルに陥りそうですね。

押井:悪化するんじゃない? だからわたしは、その手の話には介入したくない。わたしの現場では「セクハラは許しません」と常々言っているけど、パワハラに関しては言ったことがない。

 ちなみに宮さんはパワハラ大王ですから。“マン・オブ・パワハラ”(笑)。あんなに酷い人はいませんから。みんなの前で吊るし上げるんだけれど、じゃあその人が辞めるのかと言えば、まずそれはない。

――信頼関係があるの?