亡き相嶋氏の長男がやるせない想いを吐露
裁判所までが認めた“冤罪事件”。現在行われている損害賠償請求訴訟でも6月16日、大川原氏は、
「警視庁の取り調べは非常に不快で、不安だった」
と語気を強めて訴えた。
さらに同じ日、法廷に立った亡き相嶋氏の長男も、
「人生を捧げてきた物が社会から否定されて人生を終えた。悔しく辛かったろうと思う」
とやるせない想いを吐露。相嶋氏は仕事に熱心なだけでなく、孫を可愛がる優しい祖父だったという。
「ところが、その1週間後の6月23日、捜査を担当した警部が法廷に立ち、『性能実験もしたし、逮捕に至った捜査手続きは間違っていない』と驚きの反論を展開。大川原氏側を呆れさせていました」(前出・司法担当記者)
だが、さらに1週間後の6月30日。原告側の代理人が「公安部が事件をでっち上げたのでは?」と問うと、この警部の部下にあたる男性警部補が捜査について「まぁ、捏造です」と認めたのだ。
「男性警部補は、『公安部が立件に積極的だと感じたか』と問われ、『はい』と答えた。さらに『輸出には問題がなかった。捜査員の個人的な欲でこうなってしまった』などと証言しました。さらに裁判長から『欲とは何か』と聞かれると、『客観的な事実がないのに、こうなりたいと思った、ということ』と述べた。一連の証言には、大川原氏側も『あそこまで認めるとは……』と逆に驚いていました」(同前)
この先、裁判はどう展開するのか。司法関係者が言う。
「大川原氏らは、当局が噴霧乾燥機を合法と分かりながら『逮捕・起訴を強行した』と主張。一方、当局は、起訴を取り消したことで面目は保ったというスタンスで、都も国も賠償責任を否定している。和解は困難な情勢だ」
判決の行方が注目される。