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ドーンとやりましょうよ、ドーンと

 経営委員会が駄目すぎるものだから、新たに会長に就任した元日銀の稲葉延雄さんは組織を掌握できずお飾りの扱いとなってしまい、実質的にはNHKプロパーで副会長になった井上樹彦さんが組織を牛耳ることになります。NHK内はともかく放送村からライツ界隈までとにかく井上さんの評判が悪いのは、NHKは地上波など放送事業だけをやっていれば良いのだという、こぢんまりとした「小NHK主義」とでも言うべきビジョンも何もない小作農的方針に拘泥しているからに他なりません。

 先般も、会長稲葉さんと総務省担当局長・小笠原陽一さんが面談して周辺がザワザワしましたが、実権のない会長と方針がブレまくる担当局長とがお茶したところでたいした話にもならんだろうとも揶揄されたりしています。

 傍らで、権勢を誇る副会長の井上さんは顔と声は良いけど中身がないとかさんざんな言われようですが、いま世界のプラットフォーム事業者が日本市場で大手を振ってコンテンツビジネスを展開しているところで公共放送がネットもニュースも蚕食されていてそれでいいのかというのは議論になるのも仕方がないところです。

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 折衷案として、なぜかNHK内部では「ネット受信料」としてNHKプラスとニュースを加えたアプリのようなもので従来の受信料とは別に月1,000円を取る案も浮上しているようですが、お前らまたカネを取るのかよ。それならもうNHKの本業はテレビ・ラジオに加えてネットもちゃんとやるぞとどーんと主張してしまったほうがいいと思うんですよね。

 それゆえに、NHKを取り巻く環境で言えば、政治も、NHK内部も、足を引っ張る日本新聞協会も大変に悪く無能で先のない3神合体となっていることは間違いありません。こんな状況で番組制作を強いられるNHK職員や総務省も担当課長の飯倉主税さん以下頑張って仕切ろうにも「で、NHKはどうするんや」っていう将来を見据えた本丸の議論が見定まらないと放送業界そのものが終わってしまいます。

 いや、NHKは終わっていいのだ、要らないのだと言いたい国民が少なくない中、しかし国民の知る権利や報道の内容が実質的なミーム戦・認知戦として安全保障の枢要な一角として扱われるようになった現在、民間では絶対に採算の合わない偽情報(フェイクニュース)対策から災害時などでの国民への情報提供まで、公共放送とは何を担うべきかの議論はどうしても避けては通れません。

 公共放送は国民の知る権利を担保する最後の砦である以上、必ずしも国民のすべてが観るわけでもないテレビ地上波をベースに業務を組み立てるということでは受信料を受け取る責任を果たしているとはいいがたく、少なくとも国民が広く使うようになったインターネットへNHKも主戦場を広げなければならないのも自明のことなのです。

 この辺は、さすがに足の引っ張り合いではなく、きちんとした将来像・ビジョンを掲げて、NHKはネット配信やコンテンツ制作において日本を引っ張れる組織に改革していってほしいというのが本来なんですけどね。

 後先考えずに「NHKをぶっこわーーす」とか煽るだけじゃ何も変わらないと思うんです。

 NHKも、さっさとドーンとネットやりましょうよ、ネット。