寄贈や骨董市のほか、SNSで知り合った呪物コレクターから譲り受けることも
――呪物はどうやって入手しているのでしょう?
田中 入手方法は主に5パターンですね。怪談ライブに来るお客さんから貰ったりするんです。あとは古道具屋さんや骨董市、呪物オークション、呪物コレクター経由が多いですね。
――古道具屋さんや骨董市に呪物があるのですか。
田中 趣味で呪物を集めている店主さんが多いんですよ。だから店頭に置いてなくても、古道具屋さんや骨董市で「僕、呪物が好きなんです」と言うと、コレクションを見せてくれたり、譲ってくれたりすることがあります。
――呪物コレクターとはどうやって知り合うのですか?
田中 紹介やSNS経由が多いですね。以前、自分のInstagramに呪物の写真を投稿していたことがあって。そのときに、日本国内だけじゃなくて海外にもコレクターの知り合いができました。
ただ、呪物コレクター以外には「怖い」「気持ち悪い」ってめちゃくちゃ不評で、フォロワーもどんどん減っていったから、すぐにその投稿はやめたんですけどね(笑)。
――海外にもコレクター仲間がいるのですね。ちなみに、信頼できる呪物コレクターの見分け方はありますか?
田中 国や地域にもよりますけど……。たとえばタイのコレクターだったら、「“クマントーン”と“ルーククローク”の違いを教えて」と聞いて、きちんと答えられたら信用していいと思います。
――クマントーンとルーククロークとは?
田中 クマントーンは、亡くなった赤ん坊や胎児の遺灰と、土やハーブなどを混ぜて作られた、タイの定番の呪物です。一方、ルーククロークは胎児をミイラ化させて作られる呪物で、クマントーンと似ているけど違うもの。
クマントーンは、タイ国内ではお土産として販売されているくらい有名です。所有者の身を災いから守ったり、願いを叶えてくれると言われていて、日本でいう“お守り”のようなものですね。でも、ルーククロークの知名度はあまり高くありません。だからこの2つの違いをちゃんと答えられる人は、「呪物の知識がある、信頼できるコレクター」と言えると思います。
周囲の心配より「呪物の背景を知りたい」「どんな呪物があるのかを知りたい」という好奇心が勝る
――今は「呪物コレクター」として各メディアにひっぱりだこの田中さんですが、ここまで集めるのには、お金だけじゃない苦労もあったのでは。集めだしたとき、周りはどんな反応だったのですか?
田中 家族や友人からは、「そんなの集めて大丈夫なの」と心配されました。怪談ライブにチャーミーを連れて行ったことも何度かあったのですが、オカルト好きなお客さんたちからも、「そんな怖いもの、持ってこないで」と言われましたね。怪談は聞きたいけど、呪物はさすがに気味が悪い、と。今ではチャーミーもすっかり有名になっちゃって、ライブに連れて行くと「触りたい」「抱っこしたい」って人も増えてきているんですけど。