第73回奨励会三段リーグの結果、10月1日付で宮嶋健太四段と上野裕寿四段の2人がプロ棋士としてデビューした。新四段の素顔に迫っていきたい。
今期のリーグ戦は終始、昇段を果たした2人がトップで引っ張っていったリーグだったと言ってよいだろう。結果として、ラスト2戦を残した時点で14勝2敗の成績を上げていた宮嶋の昇段が決まった。
9月9日に行われたリーグ最終17、18回戦を前にしての上位成績者は以下の通りである。
(7)宮嶋健太 14勝2敗(昇段決定)
(4)上野裕寿 13勝3敗(次点1あり)
(23)山下数毅 12勝4敗
※括弧内数字は前期リーグ順位
上野の四段昇段と山下の次点も確定
残る1枠も上野連敗、山下連勝の時のみ山下の逆転昇段で、またその場合も上野が2度目の次点を獲得することは決まっているので、上野の四段昇段も実質的に決まっていたと言ってよい。ただ山下が逆転昇段すると、藤井聡太竜王・名人以来の中学生棋士誕生となるので、そういった面での注目もあった。
午前中に行われた17回戦で上野と山下がともに勝ち、上野の四段昇段と山下の次点も確定した。宮嶋が敗れていたのでこの時点で1位と2位が逆転したが、最終18回戦では宮嶋が勝ち、上野が敗れたため、最終的な結果は以下の通りとなった。
(7)宮嶋健太 15勝3敗(昇段決定)
(4)上野裕寿 14勝4敗(昇段決定)
(23)山下数毅 13勝5敗(次点獲得)
奨励会時代で一番悔しかったことは…
続いて新四段に対する共同インタビューが始まる。
宮嶋 ホッとしたの一言です。13年間の奨励会生活で棋士になれるか、なれないか。最近はなれない可能性が高いと思っていたので。今日は負けるとみっともないというか、堂々と会見に来れるようにと、最悪連敗はしないようにという気持ちで臨みました。
上野 ラス前が終わった時点で、次点以上は確定していましたが、2位と3位とではだいぶ違うので、よかったです。これまではラス前で目をつぶすことがあったので、今回はラス前で連勝できて伸び伸び指せました。
――(宮嶋に対して)高田明浩四段以来となる岐阜出身の棋士ですが。
宮嶋 高田四段が上がった時が、奨励会時代で一番悔しかったことです。24年間ずっと岐阜に住んでいて地元の方にもお世話になったので、これからは普及の面などで恩返しをしていきたいですね。
――こういう将棋を見せたい、こういう人と戦いたいという希望は?