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 それで音楽で食うしかないと思って火がついた。食うために営業活動を自分でするようになって、いろんな人にCDを渡して。でも腹立つのは、「ミュージシャンが頭下げてCDを渡してかっこ悪い」とかって言う同業者がいるわけですよ。

 それを聞いた時に「いや、お前の代わりにスタッフの方がそれをやってくださってるんだぞ。その仕事をお前、今ダサいって言ったっていう自覚ある?」って。その稚拙さみたいなものをミュージシャンに対してすごく感じて。受けるべき傷を受けてないからぬるいんだなと思う。

 自分のCDを持って行ったり、自分の名前で挨拶しに行って、オファーした時に断られる傷っていうのは負うべき傷だから。そういう意味で俺のハングリーさ、屈辱が尽きないのは自分でちゃんと矢面に立ってるからだと思う。ライブの窓口にも基本的にはオファーを自分が出すようにしてるし。

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©佐藤亘/文藝春秋

一般的な仕事との唯一の共通点

――いまだに他人任せじゃなく、そこを続けている。

アフロ きっついの、断られたりとかするとさ。なんか裁かれた気になるでしょう。クーッて思って。でもやってきてよかったなと思いますね。「売れてるくせに、まだ負け犬みたいなこと歌ってるのか」っていう人がいたら、俺の生活に密着してほしい。一通のメールでどれだけ俺がへこんだりしてるかって見てほしいね。

 でもこれもポップスだから。この経験も、この瞬間もミュージシャンがなかなか感じられないもの。みなさんの仕事とたぶん、唯一といっていいほど共通する部分って、もの作りじゃなく、その断りのメールが来るっていう。仕事の一般的な基礎だから。これを体感してるのってポップスの栄養を得ている感覚だよね。

©佐藤亘/文藝春秋

「ごめんな友よ」から曲が始まっている理由

 ごめんな友よ 俺はもう行くよ 居酒屋だけの意気込みじゃゴミだ

 お前も本当は気付いてるんだ 素面じゃ語れぬ夢は惨めだ

 MOROHA「革命」より

――MOROHAの代表曲「革命」から10年がたちました。現状への焦燥感とそこから立ち上がる力が込められた曲ですが、そもそもどんな感情で作られたものなんですか。