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アフロ 夢を語り合ったはいいけれど、語ることで、もうなんかやった気持ちになる。でも1人になって素に戻って「あれは何の時間だったんだっけ」みたいな、こんなことずっと繰り返してないっていう焦りからですね。俺の、MOROHAという活動が始まった原体験として、居心地のいい場所から離れないと、新しいことを始められないタイミングだったので、「ごめんな友よ」から始まってます。

――その当時は、このままだと音楽をやめるかもしれないという思いもあったんですか。

アフロ やめるとは考えたことなかったですね。三井住友と三菱UFJとみずほから、たしか20万円ずつつまめたんですよ。それで60万円。それがゼロになったら田舎に帰ろうと思ったんですけど、ラスト8万円ぐらいのタイミングでドーンと、何かのギャランティが入って「ああ、これで音楽をやめずに済む」と思ったことは覚えてますね。

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©佐藤亘/文藝春秋

自分が惨めだなと思う場所には“心”ではなく“体”を持っていく

――2022年には日本武道館ライブ。現在はチキンラーメンなどテレビCMにも出演していて、10年前に「革命」を作った頃とは環境が違います。先日、出演した「街録chチャンネル」で「ストイックさがちょっと欠けてるんじゃないか」って吐露していましたが、そうした焦燥とは無縁になったんでしょうか。

アフロ でもね、俺は自分が惨めだなと思う場所にね、心じゃなくて体を持っていくっていう癖があるんです。これは心だけじゃだめで。体を持っていくと生々しいものとして、思い知らされる。

 今回、「さよなら ほやマン」のチラシを映画館に行って配ったんですよ。そうするとライブハウスと違って、俺のことを知らない人ばっかしだから、なかなか受け取ってもらえない。たくさん持って行ったチラシが減ると思ったら、全然減らずに帰ったりする。そのとき映画に出てよかったなって。

©佐藤亘/文藝春秋

ミュージシャンにとって需要がなくなることは地獄

 満たされたというのは、音楽という枠の中で満たされているだけで、そこから自分の世界を広げていけば、また同じぐらい渇くことができるのをすごく思い知った。だからどんどん自分の目標を高くしていけば、同じように渇いていく。

 自分自身のハングリーさは実は変わってなくて。正直お金の話は、普通に明日食う飯に困るようなことは全然ないから余裕なんだけど。でもなんか、そこじゃないですね、満たされるっていうのは。