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「オムツのウンチを投げる」言葉をもたない障害の重い子が里親の愛情で育ち、中学卒業時に先生に言った一言

source : 提携メディア

genre : ライフ, 社会, 教育

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「自分の幸せももちろんあっていいのだけれど、あくまで子どものための制度なので。いいこともあれば、悔しいこともたくさんある。だけど子どもたちとの出会いが、確実に自分の幸せに繋がっていくから、子どもと一緒に、自分を育てていく姿勢でやってほしいと思います。私は、これを人生の貯金がたくさんできるという言い方をしていて。その子その子によって違う喜びを、新たな視点を、私はたくさん貰ってきているの。ギフトをたくさんもらってきている。だから、里親はやめられない」

坂本さんが、これまでに預かった19人の子どもに願うことはただひとつ。

「死ぬときに、『ああ、オレの人生、悪くなかった。幸せだったな』と思って終わってくれたら。だから、家庭では、いっぱい喋ったね、遊んだね、楽しかったねっていう思い出を、これからも、なるべくたくさん作りたいと思っています」

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坂本家ではクリスマスには、家族みんなで飾り付けをすることになっていて、これは最初の里子である純平くんを迎えてから始めたこと。純平くんが亡くなった後は、天国の純平くんからも、ちゃんと坂本家が見えるように、家の中だけでなく、家の外壁を丸ごと、イルミネーションで飾るようになった。空の上にも届けられる唯一のクリスマスプレゼントを、みんなで心を込めて飾る。

ぶどうの木の枝のみんなは、今も1つの太い幹でしっかりと繋がっている。

黒川 祥子(くろかわ・しょうこ)
ノンフィクション作家
福島県生まれ。ノンフィクション作家。東京女子大卒。2013年、『誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち』(集英社)で、第11 回開高健ノンフィクション賞を受賞。このほか『8050問題 中高年ひきこもり、7つの家族の再生物語』(集英社)、『県立!再チャレンジ高校』(講談社現代新書)、『シングルマザー、その後』(集英社新書)などがある。
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