「もうダメかなという気持ちになりました」
今回の裁判は、財務省が森友事件の捜査で検察に任意提出した文書の開示を巡るものだ。情報開示に詳しい弁護士から「負けるわけがない」と聞いていたが、一審では「将来の同種事件の捜査に影響する」という理由で敗訴した。改ざんを主導した佐川宣寿元財務省理財局長を相手にした裁判でも2連敗しているだけに、心にこたえたという。
雅子さん 負けぐせがついてしまって、もうダメかなという気持ちになりました。その時に、元検事の方に意見書を書いてもらったらというアイディアをある記者の方が出して。すぐに郷原先生を思い浮かべました。眞紀子さんからお話を伺っていたので仲介をお願いしました。
「私の検察官としての経験からみて…」
郷原弁護士は検察組織の在り方や安倍政権時代の森友事件などを徹底批判し、眞紀子さんと勉強会を行っていた。裁判で財務省の不開示の理由に対し「捜査に影響はない」という意見書を出した。控訴審の判決は意見書と同じ立場で、捜査への影響という国の主張を退け、雅子さんの逆転勝訴となった。
郷原さん 国の主張は、財務省が検察に提出した書類が明らかになると、今後同じような事件の捜査手法が推知されると言うんですけど。私も自分なりに工夫していろんな地検で捜査をしてきた経験で、こんな理屈はどこからも出てきません。検察の捜査はそれぞれの事件で異なるので、ある事件で出した資料から将来の捜査手法が推知されるなんてありえません。今回の赤木さんの訴訟は、どう考えたって負けるわけがない。それを負けさせた理屈が、私の検察官としての経験からみて、まったくでたらめなものだったわけです。
雅子さん 本当に郷原先生が書いてくださった意見書で勝つことができました。弁護団の先生がおっしゃるには、一審で私が負けた裁判を控訴審で勝たせるのは、裁判官は検察の仕事をしたことがないので、本当にいいのかって迷いもある。その時こういう意見書があると、お守り代わりになると話していました。先生の意見書が裁判所のお守り代わりになって裁判官の背中を押してくださったんだと。
眞紀子さん いい表現ですね、それは。