親が高齢になっていくにつれ、高齢者施設に預けるかどうかを考える機会が増えるはず。介護現場歴20年で、お笑い芸人として活躍しながら、2023年に介護福祉士の資格を取得した安藤なつさんに家族を施設に預ける際の選択や介護の仕事とそのやりがいについてお話をうかがった。
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親の介護は 介護のプロに任せていい
高齢者施設は増えてきましたが、“高齢になったり介護が必要になったりした親の面倒を看るのは家族の役目”と考えている人、親を施設に預けることに罪悪感を感じている人は、まだ多いと思います。
でも、「そんなことはない!」と声を大にして言いたいです。
家族のことは自分たちで看る、それはとてもすてきなことだと思います。家族だからできることもあると思います。
一時期は、親の介護のために離職する人が少なからずいました。介護休暇制度などもできましたが、どの職場でも取得できるとは限らないので、まだ介護離職も現実に起こっているのではないでしょうか。
日本には介護は家族でするのが当たり前という風潮があり、ちょっと閉鎖的だなと感じます。
私は、こうした“介護が必要になった家族を自分たちで看なければ”という固定観念を変えていきたいと思っています。
自分たちで看たいという思いは、とてもよく理解できます。でも、無理はしてほしくないのです。
介護は始まったら、いつまで続くのかわからず、ゴールが見えません。介護には時間が取られますし、体力も使います。長引くほど看る側も看られる側も、互いに余裕がなくなって疲弊してしまうし、介護する方の仕事や暮らしなどにも影響が出てしまうでしょう。家庭内がギスギスしてしまうという声も数多く聞きます。
発言にしても行動にしても、他人だと許せるけど親だと許せないことっていろいろありますよね。家族だから遠慮のない言葉を発し合うこともあるでしょうし、なんでこんなことぐらいできないんだっていう苛立ちも起きるでしょう。だんだんいろいろなことができなくなっていく様を見ていくのは、やっぱり辛いじゃないですか、家族としては。
だからこそ、介護職を頼っていただきたい。介護職は知識と技術を学んだうえで介助をするプロです。仕事としてその方のことを看ることができます。