国際的な詐欺ネットワークの一端に、日本が組み込まれていた。SNSを使った投資詐欺でだまし取った資金をマネーロンダリングしたとして、警視庁国際犯罪対策課は10日、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)の疑いで、会社役員の林明旺容疑者(37)ら男女3人を逮捕した。

「3人は、ロマンス詐欺などを手がけるベトナムや中国、台湾の犯罪グループと連携。グループの詐取金を一旦、3人が管理する法人口座に移した後に海外金融機関の口座に移動させ、洗浄した資金をグループに還流させていた疑いがあります。資金洗浄額は500億円を超えるとみられます」(警視庁担当記者)

 林以外の2人は中国籍。他人名義の口座を売買する「道具屋」から購入した300前後の口座を常時、管理下に置く大規模なネットワークを構築していたという。

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 捜査関係者は、「詐欺が猛威を振るっているのは日本だけではない。中国や東南アジアでもSNSを使った詐欺事件が頻発しており、林らのように国境を越えたネットワークと各国の捜査当局のいたちごっこになっている」とする。

ミャンマーから国境を越えてタイ北西部に渡る外国人ら。詐欺拠点で働かされていたとみられる

オンラインゲームで知り合った相手にタイに来るように誘われ…

 そうした国境を越えた犯罪ネットワークに日本在住の犯罪者が加担するだけでなく、日本人が被害に遭うケースも確認されるようになってきた。13日には日本の男子高校生(17)をミャンマーに連れ去って詐欺拠点で働かせたとして、タイ警察が日本人の男(29)を逮捕したのだ。

「高校生はオンラインゲームで知り合った相手にミャンマーの隣国のタイに来るように誘われ、1月に出国。家族からは捜索願いが出ていました。高校生は間もなく保護されましたが、対応が遅ければオンライン詐欺の下っ端として働かされ続けていた可能性が濃厚です」(全国紙記者)