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郁美さんの自宅からはこれを主成分とする危険ドラッグが見つかり、仕事で使っていたとみられるSMグッズやボンデージなども見つかった。まさに親の知らない娘の姿である。
沢崎は公判で「危険ドラッグによる突然死だ」と訴え、「郁美さんが突然暴れ出し、それを制圧するためにブラジリアン柔術の絞め技を使った」として、正当防衛を主張した。
だが、一審では「合成カンナビノイドによる中毒症状は出ていたが、死に至るほどではない。未必の故意(犯罪行為による被害を意図していないものの、被害が発生する可能性を認識している状態)が認められ、正当防衛には当たらない」と断罪され、懲役9年を言い渡された。
懲役9年と思いきや…
沢崎は控訴し、二審では“無罪請負人”と呼ばれる弁護士が担当になり、徹底的に事件時の状況を調べた結果、「被害者が危険ドラッグを大量摂取したことや、絞め技を受けたことによるストレス反応が突然死を引き起こした可能性がある」として、無罪判決が言い渡された。首を絞めているときに薬物中毒による突然死が起こった可能性を否定できないというわけだ。
沢崎は釈放され、冤罪事件として同情を集めたが、恐ろしいのは酒もタバコもやらなかった平凡なデパガが2カ月後には風俗嬢となり、薬物セックスに溺れ、それから1年後に死亡してしまったという事実だ。「幸せになるような気がしなかった」という母親の予感は的中したのである。
