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安倍晋三 首相
「私の妻や友人が関わったので、国民が疑念を持つのは当然」

朝日新聞デジタル 9月14日

安倍昭恵氏 ©JMPA

 14日の公開討論会より。この発言で多くの人が驚いた。安倍首相は2017年2月17日の衆院予算委員会で「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。全く関係ないということは申し上げておきたいと思います」と発言していたからだ。

 なお、安倍首相は5月28日の衆参予算委員会で発言の意味について、「不正はしていない。政治の世界において大きな問題になってきた贈収賄では全くない。そういう文脈の中において、私は『一切関わっていない』ということを申し上げている」と修正を行っている(朝日新聞デジタル 5月28日)。

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 日刊スポーツの政治コラム「政界地獄耳」は「アドリブが利かず、感情的に答える首相に、内閣官房参与で首相のスピーチライター・谷口智彦は、どんな言い訳を生み出してくるのだろうか」と書いたが(9月17日)、そもそも谷口氏は『月刊Hanada』(1月号)への寄稿で「『モリ・カケ』ごときで総理を取り換えるべからずと、それが有権者の総意だったわけです」と記していたから特に気にも留めていなそうだ。ここでも「有権者の総意」とされているが、けっして「総意」ではないことは付け加えておく。

安倍晋三 首相
「本当にそういう出来事があったのか、陣営に聞いた。みんな『あるはずはない』と大変怒っていた。そういう人がいるのであれば名前を言って頂きたい」

朝日新聞デジタル 9月18日

 総裁選では圧力の有無についても話題になった。14日、石破派所属の斎藤健農林水産相が「安倍応援団の一人に『石破さんを応援するのなら辞表を書いてからやれ』と言われた」と圧力をかけられたと発言したことについて、安倍首相は17日に出演したテレビ番組で「決して脅しとかではないと思う。自由に闊達に、みんな一生懸命応援したらいい」と発言。「角福戦争のころは、こんなものじゃない。もっと激しい言葉もあった」と振り返って圧力そのものを咎めることはなかった(産経ニュース 9月17日)。

石破茂氏 ©JMPA

 しかし、その直後に出演したテレビ番組では圧力を完全否定した上で「名前を言って頂きたい」と迫った。「自由に闊達に」はどこへ行った。これに対して石破氏は「斎藤健さんは、作り話をする人では絶対にない」と真っ向から反論。「財務省のセクハラ疑惑に似ているような気がする」と述べた。福田淳一前財務事務次官によるセクハラ問題で、麻生太郎副総理兼財務相が「本人が申し出てこなければ、どうしようもない」と被害者の記者に名乗り出ることを求めたことと結びつけて安倍首相を批判した。

 麻生氏は、18日の記者会見で斎藤氏の発言に対して不快感を表明。「今までの総裁選挙とは違うんだっていう、認識が基本的に欠けているよね。現職(総理)がいなくなった後の総裁選と、現職がいるときの総裁選では意味が違うだろう」と圧力を擁護した(テレ朝news 9月18日)。

 なお、今回の総裁選で石破氏の支持を表明した自民党所属の兵庫県県議や神戸市議らが、安倍首相の側近である国会議員から圧力があったと明かしている。岡田裕二神戸市議はフェイスブックで「官邸の幹部でもある、とある国会議員から、露骨な恫喝、脅迫を私達地方議員が受けており(中略)石破茂候補を応援する決意を固めました」と告白。神戸新聞は「露骨な恫喝、脅迫」を行っていたのは安倍首相の側近である西村康稔官房副長官であると報じている(神戸新聞NEXT 9月11日)。もう一度言うが「自由に闊達に」はどこへ行った。