『ゲゲゲの鬼太郎』を代表作とする漫画家の水木しげる(1922〜2015)は、妖怪の存在を世の中に伝えていきたいと考えていた。長女の原口尚子氏(62)と次女の武良悦子氏(58)が、その素顔を語る。
悦子 小学生の頃、クラスの男の子から「お前の父さんは、嘘ばっかり描いてる」とイジメられたんです。泣きながら父に話したら、「目に見えるものしか信じないなんて、つまらないじゃないか。見えなくてもいるんだ」と、強く言い返されました。
尚子 「無理やり見ようと思わなければ、見えないんだよ」と言ってましたね。「いると思う、その気持ちが大事なんだ」って。

悦子 ああ、よく聞いたね。
尚子 それから「いまは、夜でも昼みたいに明るいだろ。電気のせいで彼らは活動の場を奪われて、絶滅の危機にある。昔は暗闇の中に、妖怪の息遣いを感じられたよ」と。
悦子 鬼太郎やねずみ男、猫娘は創作したキャラクターですが、子泣きじじい、砂かけばばあ、一反もめんといった妖怪は、古い言い伝えや絵を参考に描いているんです。だから妖怪や民俗学の本を、古本屋から山のように買い集めていました。
尚子 妖怪は人間の心が作るものだと言って、昔の人が「こういう現象が起こるのは、こういう妖怪がいるせいに違いない」と考え出したことを、面白がっていたんです。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
初回登録は初月300円・1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
電子版+雑誌プラン
18,000円一括払い・1年更新
1,500円/月
※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2025年8月号

