アニメ界のレジェンドが二人の大天才を語り尽くす
今年3月に鳥山明さんが亡くなったと聞いた時は、あまりに突然のことで本当に驚きました。まさに青天の霹靂という感じです。
私は集英社が主催するギャグ漫画の新人賞「赤塚賞」の審査員を10年ほど務めていたのですが、当時「ドラゴンボール」を連載中の鳥山さんも審査員だったので、半年に1回は顔を合わせる仲でした。多忙を極めていた鳥山さんが、「なかなか連載を終わらせてもらえなくて……」と毎回会うたびに愚痴っていたのをよく覚えています。
鳥山さんは職人気質で自分に厳しい人でしたから、亡くなる直前まで仕事に打ち込まれていたのではないでしょうか。「SAND LAND」のアニメを世界中に配信するなど、現在進行中の企画もありましたから、訃報を聞いた時には正直「もったいない」とも思いました。
鳥山さんの訃報に接して、ふっと私の頭を過ったのは“漫画の神様”手塚治虫先生のことです。手塚先生も死の間際まで仕事を続け、胃がんで入院していたのにベッドの上でもペンを握って漫画を描き続けていたそうです。人づてに聞いた話ですが、亡くなる間際の言葉が「頼むから、仕事をさせてくれ」だったとか。お二人とも自分をいじめ抜いて仕事をするタイプでした。
鳥山明と手塚治虫。鳥山さんは昭和50年代から平成、令和に至るまで、手塚さんは敗戦から昭和が幕を閉じるまで活躍しました。時代こそ異なりますが、二人とも漫画やアニメの歴史を変えた大天才であることに間違いはなく、この二人の人柄、作風、仕事ぶり、そして時代背景などを私なりに比較すると、色々と面白いことが見えてきます。
辻真先氏は現在92歳。NHKのディレクターを務めた後、1962年に独立。長年にわたり、アニメ、特撮ドラマの脚本家として活躍してきた。「サザエさん」「デビルマン」「サイボーグ009」「アタック№1」「ゲゲゲの鬼太郎」など数々の名作のアニメ化第1回の脚本を執筆するなど、アニメ草創期を支えたレジェンドである。ミステリ作家としても多数の作品を執筆し、1982年に『アリスの国の殺人』で日本推理作家協会賞を受賞。2020年に発表した『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』はミステリランキング三冠に輝いた。
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