皇太子妃美智子 スポーツレディ

猪谷 千春 IOC名誉委員
ライフ 皇室 昭和史 歴史

皇太子妃でいらした美智子さま(1934〜)にスキーを指導した猪谷千春氏。昭和31(1956)年のコルチナダンペッツォ五輪・男子回転で、冬季大会では日本人初の銀メダルを獲得している。上皇后陛下との思い出を語る。

 上皇后美智子さまに初めてお会いしたのは、昭和34(1959)年のご成婚の少し前だったと思います。上皇さま(当時は皇太子殿下)からテニスのお誘いを受け、軽井沢で初めてお目にかかりました。

 日本スキー界の草分けともいえる両親の元に生まれた私は、2歳からスキーをしていました。さらに瞬発力を鍛えるトレーニングの一環として、テニスも本格的に行っていました。そのため、当時皇族へのスキーのご指導のお役目を賜っていた父の猪谷六合雄(くにお)に連れられて、上皇さまのお相手としてスキーやテニスをご一緒することが多かったのです。

 上皇さまは足で動くテニスがお得意でした。どこへ打っても打ち返されるので、私が「手ニス(テニス)ではなく、足ニスだ」と申したこともありました。美智子さまは、よくそんな上皇さまのダブルスのパートナーとしてプレーをしていらっしゃいました。

 お綺麗でハキハキ発言されるお姿がとても印象的。テニスのプレーもとてもアグレッシブで、どんな球でも拾う上皇さまと、チャンスがあればスマッシュを決める美智子さまのペアは、まさに最強のチームでした。その後、おふたりのご成婚をニュースで知った時は、テニスでの息の合ったプレーを思い出し、なるほどお似合いだなと、とても嬉しく思ったものです。

 ご成婚後は、上皇さま、上皇后さまとスキーをご一緒させていただく機会も増えました。上皇后さまは、スキーは初心者でいらっしゃいましたが、抜群の運動神経をお持ちで、そして何より素直な生徒でした。こちらが申し上げたことを、「わかりました」とその通り実践してくださるので、あっという間に上達されました。

1967年、苗場国際スキー場での美智子さま ©文藝春秋

 上皇さまはもともと、スキーが大変お上手でしたから、上皇后さまがある程度のレベルになると、おふたりでよく上級者コースを楽しんでおられました。

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source : 文藝春秋 2024年8月号

genre : ライフ 皇室 昭和史 歴史