読み手の心に静かな熱を生む
あのブロニスワフ・ピウスツキを描く小説があらわれたとは! 本書の刊行を知ったとき、驚きと期待、そして、正直に言えばいくばくかの不安が心の中でせめぎあった。ブロニスワフは実在の人物で、帝政ロシア末期の1887年に皇帝暗殺未遂事件に連座し、政治犯としてサハリンに送られたポーランド人である。1905年に日本が日露戦争に勝利し、島の南半分を領有するまで、ロシアはこの島を流刑地にしていた。
ロシアによる同化政策で母語を話すことさえ禁じられて育ったブロニスワフは、サハリンで先住民族の人々と出会う。彼らの精神性にひかれて言語と文化を学び、やがて後世に名を残す民俗学者となるのである。ちなみに彼の実弟であるユゼフ・ピウスツキは、1918年10月、ポーランドが123年にわたる分割統治から独立を果たした際の英雄で、現在のポーランド共和国の初代国家元首である。
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source : 文藝春秋 2019年12月号