偉業をなしたジャパニーズウイスキー

福與 伸二 サントリー・チーフブレンダー
ライフ ライフスタイル グルメ

 2025年9月、私たちはロンドンにいた。世界的に権威のある酒類品評会、第30回インターナショナル・スピリッツ・チャレンジの授賞式に参加するためだ。ここではウイスキーやジンなど対象の全カテゴリーから1点だけが選ばれる、シュプリーム チャンピオン スピリットという最高賞がある。2023年には山崎25年、24年は山崎12年がその栄誉を得ていた。

 過去に2回連続して受賞したブランドはあったが、3回連続はない。賞の発表直前に出品されたお酒を試飲していると、古い知り合いから「あのスコッチの37年物はいける」と勧められ、さらに「シンジ、山崎も響もあまり残っていないぞ」とも言われた。人気があるのは実力の証ではあるけれど、さすがに今回の受賞はないと思っていた。ところが、プレゼンターが「最高賞は山崎18年!」と発表したのだ。まさかそんなことが起こるなんて。言葉にならなかった。喜びと驚き、安堵感が湧き起こり、仲間とステージへ向かったのだった。

ISCで最高賞を3回連続受賞 Ⓒサントリー

 山崎に限らず、日本のウイスキーはスコッチとともに人気だ。ジャパニーズウイスキーは2000年代初頭から世界中で評価が高まっている。その理由はひとえに美味しいからだと思う。日本の清冽な水と、勤勉で手を抜かない生産者たちが生み出す味は優しく、かつ複雑で飲みごたえもある。この“アプローチャブル”な味わいはウイスキーを飲みなれない人にも好評だ。

 山崎蒸溜所は、良質な水が豊富な京都・天王山の麓にある。サントリー創業者の鳥井信治郎が赤玉ポートワイン(現・赤玉スイートワイン)の成功をもとに周囲の反対を押し切って、1923年に日本初のウイスキー蒸溜所として建設に着手した。当初はスコッチ風の香味が受け入れられず苦渋の日々が続いたが、1937年に発売した角瓶が成功した。これが日本にウイスキーを定着させたといっても過言ではないと思う。

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source : 文藝春秋 2026年3月号

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