元には戻らない世界のなかで

新連載 第1回

佐橋 亮 国際政治学者

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ニュース 政治 国際

イラン戦争と米中首脳会談は、我々に何を示したか

「その外国交際の法の如きは、権謀術数至らざる所なしというも可なり。」

『文明論之概略』で福沢諭吉が記したこの言葉を現代語に訳せば、外交において権謀術数が張り巡らされているのは常だ、ということになる。

 現在の国際情勢は、まさにこの言葉を思い出させる。様々な国の駆け引き、策略、謀略が今まで以上に渦巻く。たとえば、5月の北京には習近平国家主席に会いに、トランプ大統領やプーチン大統領が相次いで訪れた。そして翌月、習近平氏は金正恩国務委員長を平壌に訪ねた。各国は貪欲なまでに自国の利益を追求している。

 私たちが頼れる存在として信じてきたアメリカでさえ、例外ではない。そのアメリカが中国に何かを裏で約束しているのか、あるいはこれから何かを約束するのか。楽観的に考えることは難しい。G7のような先進国クラブの結束は綻びが目立つ。

アメリカのトランプ大統領(左)と中国の習近平国家主席 Ⓒ時事通信社

 少なくとも過去数十年にみられた「秩序だった世界」は、そのままではもはや前提にできない。

 多くの人は、今という時代を不確実性の時代だと言う。トランプ大統領が次に何を言うのか分からない。その予測不能性こそが、この世界を混乱させているのだ、と説明する。しかし、それが全てではない。トランプ大統領が行おうとしていることは、これまでのアメリカと世界との関わり方を見直し、利益を追求するという、実はかなり単純な思惑から理解できる部分が大きいのだ。

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source : 文藝春秋 2026年8月号

genre : ニュース 政治 国際