鈴木敏文、河野洋平、ガッツ石松、岸田秀、中村玉緒

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偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム

★鈴木敏文

 セブン&アイ・ホールディングス(HD)名誉顧問の鈴木敏文(すずきとしふみ)はお客中心の経営で日本の流通を一変させた。

鈴木敏文 Ⓒ文藝春秋

 しばしばセブン−イレブンのオーナーたちと対話した。彼らはデータを基に売れ筋をもっと欲しいというが、鈴木は「データは過去の話。昨日のお客様と明日のお客様では欲しいものが違う」と語った。「市場変化の仮説が先でデータはその検証に使う」。

 1932(昭和7)年、長野県の坂城町に生まれる。実家は地主。子供の頃は「あがり症」に悩んだ。旧制中学の受験の際に口頭試問で一言も話せず不合格となる。高校時代には周囲に推されて生徒会長に立候補、苦労して演説し当選する。中央大学では全学自治会書記長となり「即興で演説できるようになった」。

 最初に就職したのは出版取次の東京出版販売(現トーハン)だった。同社が無料で配っていた『新刊ニュース』を担当し、谷崎潤一郎などの作家や淡路恵子などの女優に登場してもらい誌面を刷新。有料化したが発行部数を5000部から13万部に飛躍させて関係者を驚かせた。

 当時、若手評論家たちとテレビ番組制作会社の設立を思いつく。人の紹介でスーパーのヨーカ堂(後のイトーヨーカ堂)に支援を頼みにいったところ、本部長に「うちに来てやったらどうだ」といわれ入社してしまう。ところが当初の話は消えてしまい、人事を担当させられ新しい採用法などを考案して注目される。

 創業者・伊藤雅俊社長は、鈴木を評価してくれたが考え方の違いもあった。伊藤は労働組合を嫌ったが鈴木は結成を促す。東証二部上場も伊藤は反対したが鈴木は推進した。

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source : 文藝春秋 2026年8月号

genre : ニュース 社会