一枚の名画をのぞき込んでみると……

✓見えてきたのは「黄色い壁」
プルーストの小説『失われた時を求めて』には、本作のこの黄色い壁のことが、登場人物の小説家の口を借りて、次のように絶賛されている――「おれの最近の本は、あまりにも無味乾燥だった。この小さな黄色い壁面のように、絵の具を何度も塗りかさねて、文それ自体を貴重なものにすべきだった」(吉川一義訳)と。確かにこの美しい黄色の壁は、作品全体の忘れがたいアクセントとなり、「貴重なもの」になっている。
人気ナンバーワン

『デルフト眺望』
1660-61年頃、油彩、96.5×115.7cm、マウリッツハイス美術館 / 写真提供 bridgeman/amanaimages
日本でゴッホとならんで絶大な人気を誇るフェルメール。そのフェルメール作品の中でも人気ナンバーワンとされるのが、この作品だ。
しかし生前のフェルメールは同時代人のレンブラントとは違い、特別な画家というわけではなかった。なにしろ17世紀のオランダでは――驚くなかれ――500万から1000万点の絵画が量産されていたのだ。
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