「日本を代表する国際人」というとき、真っ先に挙がる名前は、緒方貞子(おがたさだこ)(1927―2019)に違いない。1991年に日本人で初めて国連難民高等弁務官に就任。2000年までの10年間、その任にあたった。ウシオ電機の牛尾治朗(うしおじろう)会長は、昭和31(1956)年に留学先のアメリカで机を並べた仲。50年来の親交を語る。
確信をもって断言しますが、いま世界で最も尊敬されている日本人は、間違いなく緒方貞子さんです。
日本初の女性国連公使となった緒方さんは、国連関係では、児童基金執行理事会議長、難民高等弁務官などの要職を歴任しました。国内でも、アフガニスタン支援日本政府特別代表や、2012年春までの9年間は国際協力機構(JICA)理事長をお務めになりました。
僕は25歳のとき、勤めていた東京銀行を休職してカリフォルニア大学バークレー校の大学院へ留学し、アジア政治が専門のロバート・スカラピーノ教授(後に同大名誉教授)の教室に入りました。2学期から入ってきたのが、中村貞子さん。のちの緒方さんです。15人くらいのクラスに、日本人は私たち2人だけでした。

犬養毅元総理を曽祖父にもち、外交官の家に生まれた緒方さんは、聖心女子大を卒業してアメリカのジョージタウン大学大学院へ進んだあと、さらに政治学の勉強を続けていらっしゃったのです。アメリカ暮らしが長いというのに、とても日本的な、しとやかな女性でした。僕は、年下だとばかり思っていた。勉強熱心だし英語も抜群ですから、よくノートを見せてもらった。非常に助かりました(笑)。
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source : 文藝春秋 2013年1月号

