国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです。
【ど】読書委員として思う どんな本もきっと面白い
2020年から2年間の約束で、読売新聞の読書委員を仰せつかりました。国語辞典の編纂に携わっているので、それなりに本は読めるだろう、と担当者に思われたのかもしれません。すでに2冊について書評を書いたところです。
私は速読ができるタイプではありません。むしろ、1冊の本を1週間ほども抱え込んで、じっくり読みます。私が本を読む第1の目的は、辞書に載せることばや用法を拾うことだからです。
なるべく普段読まない種類の本を開いて、自分の知らない多くのことばと出合う。これが私には無上の楽しみです。こういう読み方をする人間にとっては、読書委員として、定期的に思いがけない本に遭遇し、書評を書くという環境は、まことに願ったりかなったりです。
読書委員は、2週に1回、東京本社に集まって、書評本を選定する委員会を開きます。会議室には、数か月以内に出版された選りすぐりの本が並べられます。委員はそれぞれ、興味を引かれた本を選び取り、「この本はこういう内容らしいので、自分が書評を書きたい」などと自薦のことばを述べます。「なんとなく書評してみようか」ではすまない厳粛さが委員会にはあります。
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source : 文藝春秋 2020年3月号