大塚家具増資の危うさ、森ビルで大政奉還?、伊藤忠・岡藤会長の執念、“土管化”する銀行

丸の内コンフィデンシャル

ビジネス 企業

★大塚家具増資の危うさ

 “かぐや姫”が再び注目を浴びている。大塚家具(大塚久美子社長)が第三者割当増資と新株予約権の発行で、最大74億円を調達すると発表した。2018年12月期決算は32億円の純損失を計上、3期連続の赤字。財務基盤が危ういため資本増強を図ったのだが、却って窮状を曝してしまった感がある。

 当初、増資引き受け先として有力視されていたのは中国で200店以上を展開する家具販売大手イージーホーム(汪林朋董事長)だった。だが同社は上海証券取引所に上場する予定。中国は資本の海外流出が厳しく監視されており、増資を引き受ければ上場承認を取り消される可能性もある。さらに「汪氏の身内に不幸があり、増資どころではなくなった」(関係者)という事情も加わった。

 結果、ネット通販企業・ハイラインズ(陳海波社長)を中心とした「日中アライアンスファンド」なる匿名組合と米系ファンドが第三者割当増資などを引き受けた。ハイラインズは日本企業の商品を主に中国で販売する際のマーケティング支援などをしている。イージーホームとの取引があり、同社から斡旋されて増資を引き受けた。

 問題は増資決定にあたり大塚家具が出したプレスリリース。ここではイージーホームとは良好な関係が続いており、引き続き資本提携に向けて交渉をする旨がうたわれている。ハイラインズの登場で、大塚家具とイージーホームの関係が損なわれたのではないかという疑念を払拭する意味もあるが、この文言は第三者割当増資と新株予約権の発行だけでは資金繰りが十分に改善されないことを暗に示しているのだ。

 大塚家具は取引金融機関と約50億円のコミットメントラインを結んでいたが、昨年10月に解消。有力な資金調達先は今のところなく、自転車操業に追い込まれている可能性が高い。また陳社長は新聞の取材で、久美子社長に父である匠大塚の大塚勝久社長と和解するよう提案したと答えたが、和解が実現したとしても、肝心の匠大塚の経営も不振が続いている。かぐや姫の心配のタネは尽きない。

★森ビルで大政奉還?

 森ビル(辻慎吾社長)で創業家への大政奉還が行われるとの見方が強まっている。

 同社は六本木ヒルズを始め都心での大規模再開発事業で知られる。創業者の故森泰吉郎氏は大学で教鞭をとる傍ら不動産事業も行っていたバイタリティー溢れる人物。その二男の森稔氏は行政も巻き込んでの長期的街づくりに情熱を傾け、会社を飛躍させた。今や総資産は2兆円近くに上り、戦後設立の独立系ながら財閥系に次ぐ位置を窺う。

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source : 文藝春秋

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