著名人が母親との思い出を回顧します。今回の語り手は、小島慶子さん(エッセイスト・タレント)です。
お互いに良くしてあげたいと思っていても、近くにいるとしんどいので、適度に離れている方が良い関係というのがあります。母と私はそれです。占い好きな母に言わせればそれは私が一白水星で母が九紫火星の「正反対の星」だからで、占いに不誠実な私に言わせればそれは母の思い込みが激しくて、他者を持たないからです。
母は11歳の内気で無邪気な少女のまま大人になったような人で、想像と現実の境目がぼんやりしており、ちょっとした偶然や勘違いを運命の啓示のように大袈裟に受け取ったり、妄想に妄想を重ねて唐突に結論を出したりします。目の前にいる人ではなく、いつも自身の脳みそと会話しているので、こちらは置いてきぼりをくらい、埒が明かずにイライラするのです。
親の愛情に飢えて育った母は、自分が愛されたかったように末娘である私に目一杯の愛情を注ぎましたが、上手に愛されたことがない人は上手に愛することもできないもの。今でいう過干渉の状態になり、私は学校で問題行動をとったり、摂食障害になったりしました。
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source : 文藝春秋 2020年11月号