2018年にフルモデルチェンジとなった新型ジムニー(4代目)が売れに売れている。現在も「納車待ち」が発生するほどの人気だが、その大きな要因となっているのが、個性的なエクステリア(外装)デザイン。エクステリアデザインの開発責任者である砂走和人氏に話を聞いた。
砂走氏は1991年にスズキ㈱入社。初代ワゴンRや3代目ジムニーのエクステリアデザイン開発に従事し、2014年から新型ジムニー/ジムニーシエラのエクステリアデザイン開発責任者を務めている。
機能に徹した飾らない潔さ
—— フルモデルチェンジにおけるデザインコンセプトについてお聞かせください。
砂走 開発コンセプトが非常に明快でした。それは「プロユーザー向け」ということ。プロというのは例えば、林業などに従事されている方などですね。3代目は割と乗用車の雰囲気が濃かったのですが、今回は「プロ仕様で行くぞ」ということでした。プロが使っている道具というのは、ダイバーズウォッチや本格的な一眼レフのカメラなどがまさにそうですが、非常に使いやすく作られています。それを軽自動車でやろうと。
—— デザインの意図について、より具体的に教えてください。
砂走 デザインの狙いを「機能に徹した飾らない潔さ」という言葉で表しました。視認性や積載性といった基本性能に特化させた、機能重視と分かるエクステリアデザインを目指しています。例えば、視界確保のためにAピラー(フロントの窓柱)を立たせました。また、ルーフの部分をフラットにすることで、溜まった雪を降ろしやすくしています。横のガラスも垂直にすることで、雪が堆積しにくくなっています。
新型ジムニー
—— ユーザーの声も調査されたんですか?
砂走 もちろんです。雪深い地域にお住まいの方や森林組合の方などから「(3代目は)ちょっと雪が溜まるね」といった話を聞きましたので、そういった声を踏まえてデザインしました。
その他、オフロード走行時の破損リスクを軽減するために、ヘッドランプは最小限の大きさにしています。さらに、車体の角から離して中央にわざと寄せていますが、これは岩や枝などにヒットしにくくするためです。さらに、ターンランプはヘッドランプとあえて別にしました。万が一、ターンランプをぶつけて割ってしまっても、ヘッドランプは生きているので山の中からでも帰ってくることができるわけです。
数百枚ものスケッチ
—— デザインの工程はスケッチから始められると聞いていますが、大体どれくらいの枚数を描くのでしょうか。
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