評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します
外国人力士が増えている相撲界で、難なく日本語を操るモンゴル勢の姿を見て不思議に感じたことはないだろうか。
英語のようにI、My、Meと格変化したり、単複でI、Weと単語自体が姿を変える(屈折させる)インド・ヨーロッパ語族の言語を「屈折語」と呼ぶ。それに対して「私」という単語はそのままに「は」「の」「に」「たち」と語尾をくっつける日本語のような言語は「膠着語」と呼ばれ、フィンランド、ハンガリーから中央アジアを経て極東に広がり、ウラル・アルタイ語族を形成する。
田中克彦『ことばは国家を超える』(ちくま新書)によればウラル・アルタイ語族に属する言語は文の組み立てが相互に似ており、単語を入れ替えれば言葉の壁を超えて文意がほぼ通じるという。モンゴル人力士の日本語上達の早さはそれが理由らしい。そんな膠着語を屈折語よりも劣った言語だとみなす言語学上の通説と「思想的なたたかい」をしてきた著者の自伝的な要素も備える本書は、読者の言語観を変える刺激に富む内容だ。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2021年7月号