ガラスの天井

巻頭随筆

芳野 友子 日本労働組合総連合会会長
ビジネス 企業 働き方 ライフスタイル

 2021年10月6日、日本労働組合総連合会(連合)の新会長に就任しました。女性初の会長として注目もされましたが、「芳野って誰なの?」と疑問を持たれている方も多いでしょう。自己紹介も兼ねて、自分の人生を少し振り返ってみようと思います。

 私が社会人になったのは、1984年。高校を卒業後、ミシンメーカーのJUKIに就職しました。ミシンと言うと女性っぽいイメージを持たれますが、製造業なので圧倒的に男性が多い職場でした。

 入社は、男女雇用機会均等法成立(1985年)の直前。均等法についての議論は始まっていたものの、どこか遠い世界の出来事のように感じていました。多くの企業がそうだったように、JUKIでも初任給の額は男女で差があり、新入社員研修も男女別におこなわれていました。女性の研修は、電話のとり方などの接遇がメインでした。

 当時は、女性は結婚・出産をしたら退職するのが当たり前の時代。待遇の差を実感することがあっても、「そんなもんかな」くらいの感想しか持っていなかったのです。

「組合の専従職員にならないか」

 先輩から声をかけられたのは、入社2年目。社内報の新入社員紹介で、幼い頃からバレエを続けてきたと書いたのですが、「1つのことを長く続けられるのは素晴らしい」と評価されたようでした。

 組合に特に関心はなかったのですが、今の部署にいると、大きな異動もなく、1カ月単位での在庫管理が続いていく。そんな会社人生を想像すると、「なんか、つまんないなぁ」と思ってしまったのですね。職場異動のつもりで、専従職員を引き受けました。

 結果的に、これが私のターニングポイントになりました。専従になると、“ある違和感”が芽生え始めました。組合には女性社員から様々な声が集まってきますが、それを執行部に伝えると、「それって女性のワガママだよね?」という反応が多かったのです。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
新規登録は「月あたり450円」から

  • 1カ月プラン

    新規登録は50%オフ

    初月は1,200

    600円 / 月(税込)

    ※2カ月目以降は通常価格1,200円(税込)で自動更新となります。

  • オススメ

    1年プラン

    新規登録は50%オフ

    900円 / 月

    450円 / 月(税込)

    初回特別価格5,400円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります。2年目以降は通常価格10,800円(税込)で自動更新となります。

    特典付き
  • 雑誌セットプラン

    申込み月の発売号から
    12冊を宅配

    1,000円 / 月(税込)

    12,000円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります
    雑誌配送に関する注意事項

    特典付き 雑誌『文藝春秋』の書影

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2022年1月号

genre : ビジネス 企業 働き方 ライフスタイル