わたしはこれまで日本マイクロソフト社内の改革に長年携わってきた。今はその知見を持って他社の改革のお手伝いもしている。1回目の緊急事態宣言発出の日には、弊社の出社率は1.7%だったこともあり、いわゆる「働き方改革」の取材も頻繁に受けた。今ではメールだけでなくチャット、会議の履歴もすべてデータとして蓄積している。しかし先日、衝撃的な数字を目にした。
「業務量34%減/会話量33%減」。これはコロナ前後に入社した社員の状態をある部門で比較した結果だ。もちろん主たる要因は激しすぎるリモートワークだ。この2年間、社会も企業も明らかに“異常”な時を過ごしている。最優先は命だ。結果、多くの企業で業務の一部(わが社の場合はほぼすべて)がリモートで実行された。当初、この“異常”な状況においてもわたしたちは「うまく過ごせる」と認識していた。なぜなら、コロナ以前にすでに様々な場所で業務を日常的に行っていたからだ。
ところが徐々に雲行きが怪しくなる。秋口にはあちこちで「元気が無い人がいる」「組織活動が滞っている」等々の声が聞こえてきた。そう、この激し過ぎるリモートワークは、「働き方改革推進企業」においても乗り越えるのが容易ではない状況だったのだ。
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source : 文藝春秋 2022年1月号