『猫と庄造と二人のおんな』。元の妻と今の妻が夫・庄造を取り合う話で、その心理戦に利用されるのが庄造の溺愛する猫「リリー」。追い出された元妻が新妻に、愛されていると本当に信じてる? 違う。あの人は猫ばかりを見ているはずよ、なんて手紙を送るところから話が始まる。悪いこと言わへんから猫は私がもらったげる。新妻側は真に受けるもんかと思いつつも、見れば夫は確かに猫にデレデレ、次第に腹が立ってくる。庄造はマザコンのぼんぼん、こんなしんきくさい男のどこがいいの? でも今だっています、こんな男子、こんな女子。約7年後に生まれる『細雪』の源流。完璧な関西弁と相まって、滑稽で、切ない人間劇場。会話のテンポ、各人の心理描写も完璧。傑作とはこのことです。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2022年1月号