100年前の11月、反感を抱く国鉄職員に刃物で暗殺されたのが「平民宰相」原敬(1856~1921)だ。衆議院議員、小沢一郎氏が郷土の英雄の非業の死を惜しむ。
小沢氏
「白河以北一山百文」と馬鹿にされた賊軍、南部藩出身だった原だが、長州最大の政治指導者である伊藤博文が創設した立憲政友会の中で力をつけて総裁になり、1918年に首相の座についた。時の長州閥の領袖として敵対した山縣有朋をして「原で行くしかない」と言わしめたほどの政治技量を持ち合わせていた。
2年後の総選挙で議会の3分の2に迫る大勝を得て、次々と改革を断行。強権的と批判された一面は私にも覚えがあるところだが、原には、先見の明があったと思う。
交通インフラの整備に力を注いだことをもって「我田引鉄」だとか、金権政治だというのは悪宣伝であって、鉄道網は後の国の発展の元になった。今でも中距離の大規模輸送は鉄道が最も効率がよいではないか。
明治になって全国に小学校をつくったのは新政府の英断で、能力のある人材を全国からどんどん採用する土壌が整えられ、平民の出の原も司法省法学校に通い才能を開花させた。その原は、大学令や改正高等学校令を公布して私学を育て、若い才能を育てるため進学の道をさらに広げた。
原敬
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source : 文藝春秋 2022年1月号