連合艦隊司令長官として真珠湾攻撃を指揮した山本五十六(1884~1943)。『失敗の本質』著者・野中郁次郎氏による新しい山本評。
野中氏
山本五十六には、真珠湾の成功ゆえの名将評価がある一方、戦争開始や真珠湾以降の作戦指導責任をもって凡将だという毀誉褒貶相半ばする評価がある。しかし、こうした評価は、軍人山本を軍事の観点から分析・評価したものではない。日本では欧米のように戦争や軍の本質を理解した研究は極めて稀であり、山本五十六評も例外ではない。
軍人山本の能力を戦術・作戦・戦略の3段階で評価すると、作戦レベルでは、航空戦力未整備な段階での短期戦である真珠湾攻撃は最適解であろう。しかし、真珠湾以降のミッドウェー海戦やガダルカナル戦役は、連合艦隊の目的の不明示、兵力の分散、航空優勢の不徹底等問題が多く、統率という面でも山本の「無口」は隷下部隊の作戦方針の理解を困難にさせ、実戦における錯誤を招き、高い評価はできない。
山本五十六
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source : 文藝春秋 2022年1月号