絹谷幸二(きぬたに こうじ・画家)
写真=石川啓次(本社)
今にも飛び出してきそうだ。紅蓮の炎の中、不動明王は憤怒の表情を浮かべ人間の傲慢や不信感から生じる争いに警鐘を鳴らす。絹谷幸二(79)は平和への願いを込めて絵にエネルギーを注入していく。
昨年、文化勲章を受章。長野五輪ポスターの原画、公共建築物の壁画や天井画を数多く制作してきた。奈良・興福寺の畔に生まれ育ち、イタリアでアフレスコ(壁画技法)を体得。近年は仏や神話がモチーフの作品が多い。龍の口から白銀の富士に向かって放たれる「不二法門」は維摩経の教え。水と油、罪と罰、男と女……相反するものは一体であると、双眼でその両面を観察することの大切さを説く。
青丹よし寧楽の京師は咲く花の
薫ふがごとく今盛りなり
「万葉集にある、色彩あふれる古都・奈良が私の原風景です。今の日本人はエネルギーが足りない。絵の力で元気になってもらいたい」
東京都内のアトリエ。ここで長嶋茂雄さんと富士山の油絵を共作。「キャンバスに向かう姿はバッターボックスに立つ姿とそっくり」
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2022年5月号