危機を生き抜く哲学

新書時評

武田 徹 評論家・専修大学教授
エンタメ 読書
評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。

 新型コロナウイルス感染症の流行は、変異株が次々に現れ、なかなか終息に向かわない。終わりを予測できないパンデミックのなかで、絶望に慣れてゆくことでより深い絶望的状況に追いやられる人々を描いたカミュの『ペスト』の世界が今や現実のものとなっている。

 こうした危機に対して医学では対処しきれず、文学や哲学が提供する人文知に事態改善への期待がかかる。福嶋亮大『感染症としての文学と哲学』(光文社新書)はカミュのように感染症をテーマにした文学者や医学や健康を論じた哲学者たちを紹介する。たとえばカントは健康を「感じる」のではなく、「知る」対象だと考えたという。確かにコロナ禍の中では自分の健康を守ろうとして他者を攻撃する「自粛警察」まで登場した。病との共生を求められる社会における健康とは何か、健康であるために人はどうあるべきか、改めて知る必要がある。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
新規登録は「月あたり450円」から

  • 1カ月プラン

    新規登録は50%オフ

    初月は1,200

    600円 / 月(税込)

    ※2カ月目以降は通常価格1,200円(税込)で自動更新となります。

  • オススメ

    1年プラン

    新規登録は50%オフ

    900円 / 月

    450円 / 月(税込)

    初回特別価格5,400円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります。2年目以降は通常価格10,800円(税込)で自動更新となります。

    特典付き
  • 雑誌セットプラン

    申込み月の発売号から
    12冊を宅配

    1,000円 / 月(税込)

    12,000円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります
    雑誌配送に関する注意事項

    特典付き 雑誌『文藝春秋』の書影

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2022年5月号

genre : エンタメ 読書