評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。
新型コロナウイルス感染症の流行は、変異株が次々に現れ、なかなか終息に向かわない。終わりを予測できないパンデミックのなかで、絶望に慣れてゆくことでより深い絶望的状況に追いやられる人々を描いたカミュの『ペスト』の世界が今や現実のものとなっている。
こうした危機に対して医学では対処しきれず、文学や哲学が提供する人文知に事態改善への期待がかかる。福嶋亮大『感染症としての文学と哲学』(光文社新書)はカミュのように感染症をテーマにした文学者や医学や健康を論じた哲学者たちを紹介する。たとえばカントは健康を「感じる」のではなく、「知る」対象だと考えたという。確かにコロナ禍の中では自分の健康を守ろうとして他者を攻撃する「自粛警察」まで登場した。病との共生を求められる社会における健康とは何か、健康であるために人はどうあるべきか、改めて知る必要がある。
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source : 文藝春秋 2022年5月号