暮らしとともにあるものを

至福の贈り物 第6回

土井 善晴 料理研究家
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土井さん

 僕はあえて「高級でないもの」「シンプルなもの」をお勧めしたいです。現代には珍しいもの、高級なもの、味が濃すぎるものがとても多い。「このブランドだから」「他にはない工夫をしてるから」という"情報”を、僕は信用していません。素材が一目で見てわかるくらいシンプルで、長いあいだ多くの人に愛されてきたもの、それでいてなるべく"自然に近い”ものを選ぶ。堀河屋野村のお醬油は数百年間、作り方をほとんど変えていません。余計な人間の工夫や邪念が入っておらず、麴菌のお世話をしていくと出来上がるもの。赤福も551HORAIの豚まんも時代を超えて"そのまま”であり続けていることが大切なんです。あえて普段から使っている、「モード」ではないもの、生活とともにあるものを贈ってみるのはどうでしょう。

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source : 文藝春秋 2022年6月号

genre : ライフ 芸能 ライフスタイル グルメ