日本は核を持つべきだ 世界的歴史人口学者の緊急提言

総力特集 北朝鮮を信用するな

エマニュエル・トッド 歴史人口学者・家族人類学者
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「日本人のタブーを親日外国人の立場で敢えて言う」

エマニュエル・トッド氏

 10年半ぶりの南北首脳会談の実現、米朝首脳会談開催をめぐる両者の応酬、イスラエルの米大使館のエルサレムへの移転など、この数カ月間、世界は目まぐるしく動いている。ソ連崩壊、米国発金融危機、アラブの春、英国EU離脱、トランプ当選などを次々に「予言」し、これまで世界の転換期を見極めてきたエマニュエル・トッドは、今の世界をどう見ているのか。そして日本に何を提言するのか。「現代世界最高の知性」が、現在進行形の歴史を読み解く。

 現在、世界は急速に流動化し、不安定化に向かっています。私は意に反してしばしば「予言者」と評されますが、今後の世界がどうなるのか、明確に答えることはできません。米国にしろ、中国にしろ、今後、特定の国が覇権を握ることよりも、世界が無秩序状態に向かっていくことを私は最も危惧します。

 私はいま、直近の動きを見て、つい先日まで抱いていた英米圏、とくに米国への楽観と期待を修正する必要に迫られています。米国の方向転換が世界を安定に導くと思っていたが、気がつけば、むしろ米国こそ、我々にとっての一番のリスクと化しているのではないか、と。

 とはいえ、私は通常言われる「予測不可能なトランプ」を問題視しているのではありません。以前からのトランプ当選を評価する立場――トランプ個人は性格も髪型もどうかと思いますが――に変わりはありません。

 約2年前、メディアや大学教授や評論家の大半が猛烈に批判するなか、私は英国のEU離脱と米国のトランプ当選をむしろ肯定しました。この二つの動きを、グローバリズムと自由貿易によって疲弊した世界を刷新し、世界に再び安定をもたらす勢力の台頭とみたからです。ネオリベラリズムは、当初、英米(サッチャーとレーガン)によって開始されましたが、ネオリベラリズムからの方向転換もまた、英米圏によって主導されるのだ、と。

 別の言い方をすれば、英国のEU離脱と米国のトランプ当選は、民主主義の失地回復、ネイションの復活を意味するもので、経済格差による社会の分断を緩和するための一つの解決を英米がもたらすと受けとめたのです。

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source : 文藝春秋 2018年07月号

genre : ニュース 社会 政治 国際 韓国・北朝鮮