ついこの間まで、安倍1強時代といわれ、9月の自民党総裁選での3選は疑いなしと思われていた安倍首相に突然冷風の嵐が吹きつけている。最近の「森友文書」書き換え問題をめぐる疑惑で、支持率が一挙に急降下したのだ。日本の政界では「世論調査で支持率が30%を割ったら政権の存続が危ぶまれる」のが定説になっているというのに、すでに調査によっては、30%すれすれまで落ちこんでいるのだ(NNN調査では30.3%)。
政治の世界は生きものだから、このあと安倍内閣の命運がどう変っていくのか、まだまだ充分な見きわめはつかないが、いずれにしろ安倍内閣にとって近未来の政治情勢はそうそう楽観できるものではなさそうだ。
安倍1強時代が長く続いたせいか、政治的修羅場を何度もかいくぐってきた百戦錬磨の闘将とか、稀代の策士といった連中も数少くなり、安倍の周辺にいるのは、いわゆるアベチルドレンのなれのはてみたいな連中ばかりなのも気にかかるところだ。次の修羅場に直面したとき、彼らの力で乗り切れるのか?
政治家だけではない。官僚の質の低下がひどい。「森友」問題での公文書の書き換え疑惑は、官僚社会の根幹というか、国家の根幹にかかわるような大問題だ。
これが法治国家だろうか。為政者が公文書を好きなように書き換えて、国家の公的資産(優良な土地)を安値で政府お気に入りのゴマすり連中に売りさばいてしまうみたいなことが許されるなら、大昔の北海道開拓使官有物払下げ事件があった頃と日本はまるで変ってないということになる。
ひるがえって世界を見渡してみると、あっちでもこっちでも権力者による傍若無人な好き勝手なふるまいが横行している。
ロシアではプーチン大統領が、得票率76%で楽々と4選を果したが、当選した直後から、政府系の人間による二重、三重投票の疑惑が、ネット上で実にあからさまな映像付きで出まわっている。
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source : 文藝春秋 2018年05月号