一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数!
現在の日本は安倍晋三首相の長期政権の下、一見、安定しているように映りますが、少子高齢化や、拡大し続ける財政赤字など、打開策を見つけ出すことが困難な課題をいくつも抱えている。バブル崩壊後、明るい将来の見えない状況がもう20年以上も続いています。
最大の原因は、政治家、官僚、財界人といった国を動かす立場のリーダー層の「教養」が不十分ということです。
教養がないと、大局観を持てません。大局観を持たない人間は物事の本質を捉えることができず、対症療法に走りがちで、重要な局面で間違った道を選び、国を誤らせ、国民を不幸にしてしまう。
私は40年ほど前から政官財各界のトップと公私にわたってお付き合いをしてきましたが、大まかに申し上げれば、現在85歳以上の方々の知的水準は素晴らしかった。中曽根康弘元総理(99)をはじめとする政治家、高級官僚、財界人などと話すと、「こういう人たちが日本を引っ張ってきたのか」と感心することしきりで、この自信過剰な私が引け目を感じるほどでした(笑)。
では教養はいかにして身に付ければいいのか。方法はただ一つ。とにかく本を読むしかありません。本を読んだあと、物語や記述された内容に思いを巡らせ、今度は自分の身の回りの現実に当てはめてみて、再び深く考える。この読書を通じた深い思索における脳の働きが、人間の教養を育むのです。
最近はインターネットで誰でも、瞬時に情報を手に入れることができます。しかしそれは単なる情報。ビジネスの役に立つことはあるかもしれませんが、それぞれが孤立した数字やデータに過ぎません。人間は本を読むことで、孤立した情報を組織化して「知識」とすることができる。知識がつながると、「教養」となるのです。
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source : 文藝春秋 2018年03月号