進次郎が「最強の女房役」を得た

特集 安倍大勝に死角あり

田﨑 史郎 政治ジャーナリスト
ニュース 政治

「小泉総理─福田官房長官」の時代が再来する

小泉進次郎氏 ©文藝春秋

「あえて単純に今回の選挙の構図を言えば、『責任対無責任』の戦いです。小池さん、(衆院選に)出ても出なくても無責任。出たら出たで、都知事選いつやりましたか。去年です。そういった中で都政を投げ出す無責任。逆に、出ないと出ないで無責任。なぜかと言えば、党(民進党)を無くすぐらいのことをやって、代表は小池さん。だけど、その党の代表は総理大臣にはなれない。小池さんは出ても無責任、出なくても無責任の『無責任のジレンマ』に陥ったんです。それをつくり上げたのは小池さんなんです」

 自民党筆頭副幹事長・小泉進次郎は希望の党代表・小池百合子の胸元に剛速球を投げ込んだ。10月1日、練馬区としまえんで行われた街頭演説でのことだ。

 この発言によって小池の矛盾が顕わになり、選挙戦の流れが変わった。その前々日、「排除」発言をして失速していた小池に、小泉の批判が追い打ちをかけた。

 小池は同3日、訪れた鹿児島で記者団に「進次郎さんがキャンキャンはやしたてる」と語り、打ち返そうとした。だが、その反撃も空を切り、小池の焦りがテレビカメラに捉えられた。

 今回の衆院選で、自民党候補の陣営から応援依頼が最も多かったのは、首相・安倍晋三ではなく、小泉だった。小泉は前回2014年衆院選よりも10カ所多い、70カ所を遊説した。その中で、「小池さん、ありがとう。心から感謝したい」と言ったり、演説場所が立憲民主党代表・枝野幸男と重なると約10分間の無言演説を貫いたりして、メディアの注目を一身に集め続けた。小泉は自民党を勝利に導いた立役者だった。

 安倍に対する拒絶反応はあっても、小泉への拒否感は不思議とない。小泉が発する言葉は有権者の胸にストンと落ちるからだ。小泉はどうやって言葉を編み出すのか。その一端は、拙著「小泉進次郎と福田達夫」(文春新書、11月20日発売)で明らかにできたのではないかと思う。福田達夫とは、福田康夫元総理の長男で、2012年の総選挙で初当選した衆院議員だ。この本は、小泉と福田の対談を中心にまとめた本である。

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source : 文藝春秋 2017年12月号

genre : ニュース 政治