安倍首相が自民党を劣化させた 当選10回「ミスター自民党」が諫言する

特集 日本の底が抜けていく

村上 誠一郎 衆議院議員
ライフ 政治

「これでは法治国家と言えない。人心を一新するしかない」

村上誠一郎氏 ©文藝春秋

 私は1986年に旧愛媛2区から初当選を果たして以来、連続10回、有権者の信を得て国会に登壇してきました。その間、ただの1度も自民党を離党したことはありませんし、野党の提出した内閣不信任案に同調したこともありません。僭越ながら我こそが「ミスター自民党」であると自負しています。

 しかし、現在ほど自民党に対して憂いを感じたことはありません。「安倍一強」とも呼ばれる現政権が続けば、この国は大変なことになってしまうのではないか。一刻も早く手を打たなくてはいけない。私は強い危機感を覚えています。

 愛媛2区選出の衆議院議員・村上誠一郎氏(65)は、東大法学部卒業後、リベラル派にして政策通として知られた河本敏夫元通産相の秘書を経て政界入り。
 2001年、森内閣で財務副大臣を務め、小泉内閣では2004年に行政・規制改革、地域再生、構造改革特区、産業再生機構担当の大臣として入閣した。河本派を引き継いだ高村派では事務総長まで務めたが、現在は脱退し、無派閥で活動している。

 2012年に第2次安倍政権が発足して以降、自由闊達な党内の雰囲気が失われ、本来あるべき優先順位から著しくかけ離れた形で政策が遂行されています。

 直近の例では、通常国会の会期末に可決された、いわゆる「共謀罪」法案(組織的犯罪処罰法改正案)の採決が挙げられます。近代国家は、人権に対する縛りを解いていく流れにあるはずなのに、安倍政権の4年間はそれに逆行し、2013年の特定秘密保護法、2014年の公務員法改正と規制をより厳しくしています。

 明治以来、我が国の法律は、人を傷つけたり他人の所有物を盗んだりするといった犯罪の「実行行為」を処罰の対象としてきました。しかし、今回の共謀罪法は大きく異なります。犯罪を計画段階で処罰するとの目的で、人々の内心にまで立ち入っているのです。しかも実に277もの犯罪に対象を広げている。明治から続いてきた法の基本原則を大転換させるものです。

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source : 文藝春秋 2017年08月号

genre : ライフ 政治