世界中で笑顔を振りまくのはなぜなのか
まるで仏頂面が自らのトレードマークであるかのようだった習近平国家主席。だが、このところは際立って上機嫌のように見える。米フロリダ州のトランプ大統領の別荘「マール・ア・ラーゴ」で行われた米中首脳会談では、笑顔を出し惜しみせず終始上機嫌であった。
そして、何といっても違和感を抱かせるのは、彼の口から発せられる言葉が急に柔らかくなったと感じられることだ。
変わり始めたのは昨秋、浙江省で開催されたG20杭州サミット(金融・世界経済に関する首脳会合)の頃からだった。そして今年1月にスイスのダボスで開かれた経済フォーラム。4月6日と7日は前述した米中首脳会談。さらに5月14日と15日には「シルクロード経済圏構想」(一帯一路)首脳会議……いずれの場でも習近平は、「互恵ウインウイン」、「平等」、「環境保護」、「社会の公平と正義」、そして「平和」といった言葉を好んで口にした。
ダボス会議で「開放型の世界経済をゆるぎなく発展させる」と高らかに宣言し、あたかも自由貿易とグローバリズムの庇護者であるかのように演説をしたことが話題になったが、5月の一帯一路サミットの基調演説でも、次のように語り、沿線国の警戒感に配慮する姿勢を見せた。
「他国の内政には干渉せず、社会制度や発展モデルの輸出もしなければ、それを他国に強要することもしない。中国は地政学ゲームのような古いやり方を繰り返さず、安定を打ち破る小さなグループを作ることもせず、平和共存の大家族を築き上げる」
「かつて中国の開拓事業に使われたものは、戦馬と長槍ではなく、ラクダのキャラバンと善意であり、頼りにしていたのは艦艇と大砲ではなく、宝船と友情だったのである」
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source : 文藝春秋 2017年07月号