安倍外交は観念的すぎる。現実主義で中国と向き合え
「日本政府には、未だにこんな『中国観』を持っている人がいるのか」
北朝鮮による“水爆実験”から1カ月が経過した2月6日。私はある新聞記事を読んで愕然として、思わず背筋が寒くなった。
「安保理制裁決議 足踏み」と題された読売新聞の記事(同日朝刊)は、国連安保理で北朝鮮に対する追加制裁の採択が、中国の「慎重姿勢」によって思うように進まない事態を伝えていた。ちょうど北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射を予告していたタイミングでもあり、政府関係者が苛立っているという。そこまでは理解可能だ。
しかし私が驚いたのは、次の記述だ。
〈日本政府内には当初、「今回は中国の協力が速やかに得られるだろう」と楽観的な観測もあった〉
というのも、中国は今回の核実験を事前に知らされておらず、実験当日に金正恩政権に対して不快感を表明していた。したがって、今回中国はアメリカと協力して、厳しい制裁決議に早期に賛成するだろう、と日本政府は見ていたというのだ。
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source : 文藝春秋 2016年04月号