テロリスト礼賛の韓国、リアリズムを徹底する中国とロシア。我が国をとり囲む三カ国は、子供たちに日本をこう教えている
戦後七十年という節目を迎えた二〇一五年、歴史認識を巡る問題が大きくクローズアップされています。隣国の中国、韓国、ロシアは、「歴史」を有効な外交カードとして利用して日本との緊張状態を生み出し、また日本国内では、安倍首相の「戦後七十年談話」を含む、歴史をめぐる議論が続いています。
歴史とは、ギリシャ語でいうところの「クロノス」と「カイロス」で出来上がっています。「クロノス」とは時系列という意味で、流れていく時間を指し、一方の「カイロス」とはタイミングです。つまりある出来事が起こって、その前後で世の中が大きく変化した瞬間を指す。この「カイロス」の比較で、その国の歴史観を知ることができるのです。
そのために、最も有効なテキストが歴史教科書です。歴史教科書には、その国の次世代を担う若者が知っていなければならない知識や思考法が詰め込まれています。
今回は、中国、韓国、ロシアの歴史教科書を読み解きながら、その三国がどういった思想と歴史観の上に立って日本という国家を見ているのかについて考えてみたいと思います。彼らが中等教育(日本の中学・高校に相当)の現場において、どのような日本観を植え付けているのかを学べば、日本が国際社会で生き抜くために必要な知恵が見つかるはずです。
分析にあたっては、二〇一二年から二〇一四年にかけて各国で使用された高校レベルの教科書を編集部で独自に邦訳したものと、明石書店が刊行している世界の教科書シリーズからそれぞれの国のものを、合わせて利用しました。
「行き詰ったら変える」
まずは中国から見ていくと、中国の歴史教科書は、階級闘争史観と徹底したリアリズムに貫かれていることがよくわかります。
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source : 文藝春秋 2015年07月号