先の9月秋場所で横綱照ノ富士から初金星を挙げ、10勝5敗の好成績で、初の殊勲賞を受賞した翔猿。師匠は元大翔山の追手風親方で、所属力士たちには「翔」の字を付けることが多い。新十両昇進時に名乗ったこの四股名は、申年生まれでもあり、「自分は軽量で猿のような動きをしているから」と自ら考案したのだという。
来場所は新三役として土俵に上がり、「まずは三役定着を目標にしたい。関脇を目指します!」と意気込んでいる。174センチ134キロの体はけして大きくはないが、まさに猿のように動き回って大型力士を翻弄し、スピード感ある押し相撲を身上とする。
高校相撲の名門である埼玉栄高校から日大相撲部に進み、卒業前の1月に初土俵を踏んだ翔猿。2020年9月に新入幕を果たして以来、秘かに増量をはかり、パワーを身に付けた。「趣味はスキンケアです」と笑いを取るが、キリリとした眉と切れ長の目のイケメン力士として、女性ファンからも注目されている。ひとたび土俵を降りると、明るくノリのいい性格でサービス精神も旺盛だ。相撲界のイベントやテレビ番組出演など、引っ張りだこなのも、むべなるかな。まるで力士であることを楽しんでいるかのような令和の時代の“お相撲さん”なのだった。
親交の深い三遊亭圓雀師匠はいう。
「地元の神社での豆まきで知り合いましてね。それこそ親子みたいな年齢差ですけれど、とにかく礼儀正しいし、何より頭の回転が速い。打てば響くような返しをするんですよ。相撲界に進むか、幼児教育の道に進むか悩んだというくらいに子ども好きでもある。子連れのお母さんに写真撮影を頼まれると赤ちゃんをあやしながら、さっと抱きかかえてね。お年寄りにはものすごく丁寧。一見チャラそうに見えますが(笑)、誰にでも分け隔てなく本当に心優しい男なんです」
自衛隊出身で落語家となり、男の世界を熟知する圓雀師匠が、迷わず太鼓判を捺すほどの好漢なのだ。さらに「殊勲賞の賞金は、そのままお母さまにプレゼントしたらしいですよ」とも明かしてくれた。
「猿からゴリラになります!」と、鼻息荒く宣言する“翔猿の快進撃”が始まる。
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source : 文藝春秋 2022年12月号